さあ!砥石と包丁はそろったかな?
買ったばかりの包丁は切れ味抜群だろうね。今は研がなくてもいいけど切れ味悪くなったら読んでね。
買ったばかりの包丁は工業用油が塗布してあるものが多いからしっかり洗ってね。
ではまず砥石は水につけておいてください。30分から1時間ぐらいつけておくといいでしょう。
お店ではよく使うので常に水につけてあります。
包丁は先端のことを切っ先、刃の下のほうをちもと、刃元などと呼びます。背中側をみね、持つところをツカ、柄。
和包丁の平刃(菜切り包丁)以外は刃に丸みがあるよね。これがあるから切りやすいんだよ。
引いて切るもの、押して切るもの、たたいて切るもの用途によって刃の形状が違います。
国によっては危ないからって刃先を折ってしまう国もあるくらい。
ここで調理師ならではの一言、『自分の使いやすいように形状を変えちゃってもいいんだよ』
写真にある私のぺティーナイフは本来の丸みを逆にえぐった感じに研いであります。
細工をしたりする用のナイフのために切っ先を鋭く薄くしてあります。
道具は自分の使いやすいように変形させていいんですよ。
自分の手の代わりになるものですから、その時の用途によってアタッチメントを変えるように。
長い年月をかけて出刃になり柳葉になりぺティーになったんですから。
まあそんなことは普通に使えるようになってからですけどね。
では研いでみましょう。
まず、切っ先を写真のように乗せます。その時包丁の背(ミネ)を少し浮かせてみてください。
刃先の上に指をのせてみるとわかると思いますが刃の面と砥石の面がピタッとくっつき始める場所がわかります。
その角度が研ぐ角度です。研ぎたい場所はどこに力がかかっているかによってきます。
そんなに力をこめる必要はありません。刃金は切っていると変形することでもわかるように、そんなに固いものではありません。
テレビや漫画で見られるような一生懸命に研ぐのは間違っていると思います(個人的主幹)。
曲がったもの、つぶれたところを成形して直すことがすべてです。
力任せに研いで包丁が小さくなったことを自慢するのは愚の骨頂だと思います(個人の見解)。
そういう自分もやってきたことだから思うんです。1本の包丁を長く使おうと思ったら丁寧に使う、ちゃんとした知識で手入れする。これしかありません。たとえ毎日使って研いでもよっぽど固いものを切って刃が欠けない限りそんなに成型することはありません。だいたい固いものを切って欠けるならそのものを切るのにその包丁はあっていないということですから、おのずとあほだとわかることでしょう。若いコックさんがやるよくある失敗です。私もやりました。言い訳を言えるなら感覚を覚えるために包丁を一本つぶれるぐらいまで研いでみたと胸を張って言ってもいいでしょう。
話が横道にそれましたが、結局、切れなくなった箇所だけ研げば(成形)いいんです。
それを知るためにもう一つ写真を見てください。
爪の上に刃を当てて力を入れずに少し前に押してみてください。滑りましたか、それともぐっと爪に食い込みましたか?
滑ったら刃がつぶれているということです。そのつぶれているのがどの箇所がどこなのか探してください。そこだけ直せばいいんです。でも想像してください刃の形状はV字になっているから切れるんです。鋭角であれば薄く、柔らかいものでも切れる。しかし力をかければ刃がつぶれやすい。鈍角であればつぶれにくく硬いものも切れるが細かい作業には向かない。どんな形になっているか、どういう包丁(刃)にしたいかによって研ぎ方は変わってきます。
先ほど砥石に刃が当たるところで研ぐと言いましたがもっとミネを持ち上げれば研いだ後は鈍角に、寝かせれば鋭角な刃になります。そしてこれが大事。両刃の場合同じ角度同じ力で表も裏も同じ回数研いでください。感覚でやっていると必ずV字が左右どちらかにずれていきます。これを治そうと何度も研いでいるうちにまがった包丁になり荒砥で成形する羽目になるのです。
5,6回ずつ研いだら爪で確認。これを繰り返してください。最小限でいいんです。
和包丁(片刃)の場合は片面はさっきと一緒ですが反対側(平らな方)は返しと呼ばれる研いだ後のバリ(出っ張り)をとるぐらいの感覚でいいです。そしたらまた爪で確認。V字が半分になったと思えばわかりやすいかな。
もう一つは砥石についてなんですけど写真を見てください。
変形してますよね。これはよくない例です。一方向一か所だけで研いでいるとそこだけ削れてしまうんです。そうなったら最後砥石同士(まがっているものより荒いもの)でこすり合わせて平らに戻すという荒業をしなくてはなりません。そのため包丁を研ぐときは同じ場所だけでなくまんべんなく使うことを心がけましょう。前後を変えることも忘れずに。ただ上下は買えちゃだめですよ。がたがたになってそれこそ取り返しがつかなくなります。あと荒砥の成形の場合はあまり大きな声では言えませんが縁石やブロックなどコンクリートの平らな部分をお借りして・・・・当方は一切責任を取りません。
さあ、やってみよう!